「合気道練習上の心得」について<その1>
合気道は創始時から、稽古にあたっては、あまり規則づくめで修行者を束縛することを好まぬ風があった。
自発的に道場に通ってくる以上その修行者には、いわゆる“やる気”があるにちがいない、稽古をとおしてこの道に何かを求めようとする行の意欲があるにちがいない、とすれば道場での稽古の心得は要するに修行者各自の自覚に待てばよいのではないか。そんなふうな考え方が合気道には当初のころからあった。…<中略>…
しかしその後、合気道への入門希望者がしだいにその数を増すにつれ、やはりいちおうの道場規則のごときものが必要ではないかとの要望の声があがった。そこで主だった門下生が開祖に相談したところ「そのような時代になったかのう」と破顔一笑、その場でさらさらと書いてくれたのが次のような「合気道練習場の心得」であった。
戦前、それも昭和十年を過ぎて間もないという時期に書かれたものゆえ、表現や内容にやや古風な点があるかとも思われるが、大意は現代の若者たちにもほぼつかむことができよう。 植芝吉祥丸(前道主):『合気道のこころ』(講談社)P.143〜
<次号から一項目ずつ紹介します。道場南側壁に阿部醒石先生の筆によるもの
がありますので、よく見ておいてください。>
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